集まって、
算数の宿題(計算練習)をしている数人の子の中の二人が、
ぼそぼそと小声で、
とても楽しそうに話しています。
二人の手元を見ると、
一人の子の鉛筆が止まったままで、
計算から離れて、
話しに夢中です。
とても楽しそうです。
このようなとき、
「とても楽しそう」が、
この子の今使える重要な力です。
「とても楽しそう」の対象は、
二人の話しです。
算数の計算ではありません。
ですが、
目の前の子は今、
「とても楽しそう」ですから、
この気持ちを利用できます。
だから、
鉛筆が止まっている子をリードして、
「とても楽しそう」の気持ちを利用するように、
計算に戻します。
つまり、
こちらが、
「とても楽しそう」の気持ちを利用するように、
計算を代行します。
ですが、
普通、
算数の計算中に話している二人を見ると、
「話していること」を見てしまい、
「とても楽しそう」を見ません。
だから、
「話さない」や、
「計算していない」や、
「できるでしょ」のような指示をして、
「とても楽しそう」な気持ちを、
瞬時に消してしまいます。
言われた子どもは、
「計算か・・・」、
「楽しかったのに・・・」のような気持になり、
「とても楽しい」気持ちから離れて、
「仕方ない・・・」のような
どちらかというとマイナスな気持ちに変わります。
「仕方ない」のような気持は、
計算に利用しにくいのです。
ですから、
「話していること」には触れずに、
「とても楽しそう」の気持ちを、
利用しようと先に決めて、
止まっている計算を手伝います。
この子は、
たし算 5+7= で止まっています。
「とても楽しそう」を利用しますから、
いきなり、
5+7= の 5 を示して、
楽しそうな口調で、
「ご」と声に出して読みます。
続いて、
この子に見えるように、
こちらの片手の指を、
楽しそうな雰囲気で折りながら、
「ろく、しち、はち、く、じゅう、じゅういち、じゅうに」と、
声に出して数えます。
そして、
5+7= の = の右を示して、
穏やかな笑顔で、
「ここ、じゅうに(12)」です。
こちらの笑顔と
楽しそうな雰囲気の計算を見た子は、
素直に、
5+7=12 と書きます。
こちらが巧みにリードできれば、
たし算の計算に戻っても、
話しに夢中の「とても楽しそう」が、
残っていることがあります。
こちらは、
笑顔で楽しそうに、
「そう」と受けてから、
さらに、2~3問、
たし算の計算を代行します。
(基本 -235)、(+- -149)