高校レベルの数学で、
微分を利用して接線を求めている子が、
突然、
「 y=1 って、どんなグラフ?」と聞きます。
聞かれたこちらは、
不意を突かれた感じで、
「えっ。本当に分からないの・・」と心の中で、
驚きます。
が、
「聞かれたのですから、
聞かれたことだけを答えたい」と思って、
「何を見せたら、
この子の内面にある知識に、
瞬時につながるだろうか?」と考えて、
直線のグラフを描いて見せると決めます。
こちらが無言で、
以下のように
グラフを描いている様子を想像してみましょう。
右向きの水平の長い矢印を引いて、
→ の先に、「x」と書いて、
水平の矢印の真ん中あたりを通る
垂直の長い上向きの矢印を引いて、
↑ の先に、「y」と書いて、
縦の矢印の上に、
点を打って、「1」と書いて、
この 1 の点を通る水平の線を引きます。
これだけの図を、
子どもの見ている前で、
無言で描きます。
水平の長い矢印(直線)、
垂直の長い矢印(直線)、
縦の矢印の上の点、
その点を通る水平の直線です。
「えっ、この直線なの?」と、
子どもには、
ピンとこないようです。
だから、
子どもに聞きます。
「1」を通る水平の線を示して、
「この上の点の y は、いくつ?」です。
この上の点は、
すべてが、
y=1 ですから、
「そうか・・、でも・・」となります。
どうも、
しっくりとこないようです。
それでも、
子どもの疑問、
「 y=1 って、どんなグラフ?」は解決します。
だから、
この子が解いている微分の問題の
続きを解くことができます。
y=1 の直線のグラフが、
水平の線であると、
すっきりと理解できなくても、
解決しましたから、
「何か、すっきりとしない」もやもやとした気持ちのまま
取り組んでいる問題を完成させてしまいます。
子どもが、
問題を解き終わって、
気持ちの余裕を持ててから、
y=1 の直線のグラフの
続きの説明をします。
y=1 を、
y=0x+1 と書き替えます。
そして、
この式 y=0x+1 から、
「傾きが、0 で、
y 軸上の 1 を通るのだから」と説明して、
子どもが、
頭の中に直線のグラフを描くのを待ちます。
戸惑っているようですから、
説明を続けます。
「 y 軸の 1 を取って、
そこから、右に 1 進んで、
傾きが 0 だから、
上にも下にも動きが 0 だから、
そのまま・・」で待ちます。
子どもは、
頭の中に、直線のグラフを描きます。
y 軸の 1 と、
そこから、右に 1 行って、
上にも下にも動かない点をつなぐと、
水平な直線です。
これで、
子どもの理解が深まったようです。
でも、
まだどこか、納得できないような感じです。
もう少しシンプルに説明します。
座標軸上のグラフを学んできた順を、
逆にさかのぼっています。
少しずつ易しくしています。
いくつかの点を計算して、
その点をつなぐようなグラフの書き方です。
こちらが先に、
いくつかの点を計算します。
「 x=0 のとき、y=1 です」、
「 x=1 のとき、y=1 です」、
「 x=2 のとき、y=1 です」としてから、
「 x=3 のとき、y=?」と聞けば、
「 y=1」と答えてくれます。
これで十分ですが、
念のためにダメ押しで、
「 x=4 のとき、y=?」と重ねて聞けば、
「 y=1」です。
「これらの点を結ぶとどうなる?」まで聞くと、
子どもは、
「あっ、そうか!」となります。
こちらが、
この子をリードしていますが、
こちらのリードの流れ全体を、
つかむことができる子ですから、
「リードの仕方」も盗むようです。
(基本 -367)、(分数 -130)