や、
のひき算の途中で、
泣いています。
泣き声を出さないで、
静かに涙を落とす泣き方です。
この子の計算問題は、
見るからに難しそうなひき算です。
泣きたくなる気持ちを理解できます。
泣いていますが、
計算を投げ出していません。
解き終わらせたいようです。
鉛筆を持ったままです。
問題を目の前に置いたままです。
座ったままです。
だから、
解き終わらせることを手伝います。
次のように考えて、
こちらは手伝います。
見るからに難しそうなひき算は、
この子が受けている刺激です。
静かに涙を落とすような泣き方で、
計算を止めることは、
理解しにくいことですが、
この子が選んだ反応です。
難しいひき算の問題が、
この子を泣かせていると、
思うことが多いのですが、
少し違うようです。
人は誰もが、
受けた刺激に対して、
自分の反応を選ぶことができます。
しかも反応の選択肢は、
思っている以上に多くて、
さまざまなことを選ぶことができます。
意識して選んでいようが、
無意識に選んでいようが、
難しいひき算を見て、
この子が選んだ反応が、
静かに泣いて、
計算しないことなのです。
既に泣いているこの子には、
とても理解できないことですが、
他の反応を選ぶことが可能です。
泣いて計算しない反応を選んだ後に、
他の反応に入れ替えることが可能なのです。
静かに泣いて計算しないままで、
つまり、
涙を静かに落としながら、
計算し始める反応を選ぶことができます。
こちらが手伝うのは、
計算し始める反応を選ぶことです。
泣いて計算しない反応を選んでいる子に、
別の反応:計算し始めることにリードします。
「どうしたの?」や、
「泣きやみなさい・・」としません。
静かに泣いて計算しないことは、
子どもが選んだことです。
子どもの選択を、
尊重します。
こちらが、子どもの選択を尊重すれば、
子どもも、こちらの選択を尊重してくれます。
そういうものです。
だから、
泣いていることを気にしないで、
泣いていない子と見なしてリードします。
目の前の子は、
泣いて、涙を落としているのですから、
見えていますが、
ここに目の焦点を置きません。
目に映っているだけ、
つまり、
見えても見ていない目の使い方で、
止まっているひき算 の計算を、
いきなり、
実況中継でリードします。
一の位の 0 と、3 を、
上から下に順に示して、
「引けない」、
「10-3=7」、
3 の真下を示して、
「ここ、7」です。
泣いている選択を尊重された子は、
こちらのリードを不思議と受け入れて、
と書きます。
続いて、
の十の位の 0 を示して、
「1 減って、9」、
真下の 2 を示して、
「9-2=7」、
2 の真下を示して、
「ここ、7」です。
泣きながら、
見て、聞いている子は、
と書きます。
そして、
の百の位の 0 を示して、
「1 減って、9」、
真下の 1 を示して、
「9-1=8」、
1 の真下を示して、
「ここ、8」です。
見て、聞いている子は、
と書きます。
1 問の計算が終わります。
泣くことをやめていることがあります。
まだ泣いていることもあります。
どちらであっても、
泣いて計算しない反応を選んだままで、
計算し始める別の反応を、
新たに選ぶ体験を、
子どもはします。
(基本 -442)、(+- -271)