見るからに難しそうな筆算のひき算を、泣いて計算しない子です。子どもが選んだ反応です。尊重します。そして、泣いたままの子の計算をリードします。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:304 \\ - \: 107 \\ \hline \end{array} }} \\ や、

{ \normalsize { \begin{array}{rr}\:\:\:1000 \\ - \:\:\:123 \\ \hline \end{array} }} \\ のひき算の途中で、

泣いています。

 

泣き声を出さないで、

静かに涙を落とす泣き方です。

 

この子の計算問題は、

見るからに難しそうなひき算です。

泣きたくなる気持ちを理解できます。

 

泣いていますが、

計算を投げ出していません。

解き終わらせたいようです。

 

鉛筆を持ったままです。

問題を目の前に置いたままです。

座ったままです。

 

だから、

解き終わらせることを手伝います。

 

次のように考えて、

こちらは手伝います。

 

見るからに難しそうなひき算は、

この子が受けている刺激です。

 

静かに涙を落とすような泣き方で、

計算を止めることは、

理解しにくいことですが、

この子が選んだ反応です。

 

難しいひき算の問題が、

この子を泣かせていると、

思うことが多いのですが、

少し違うようです。

 

人は誰もが、

受けた刺激に対して、

自分の反応を選ぶことができます。

 

しかも反応の選択肢は、

思っている以上に多くて、

さまざまなことを選ぶことができます。

 

意識して選んでいようが、

無意識に選んでいようが、

難しいひき算を見て、

この子が選んだ反応が、

静かに泣いて、

計算しないことなのです。

 

既に泣いているこの子には、

とても理解できないことですが、

他の反応を選ぶことが可能です。

 

泣いて計算しない反応を選んだ後に、

他の反応に入れ替えることが可能なのです。

 

静かに泣いて計算しないままで、

つまり、

涙を静かに落としながら、

計算し始める反応を選ぶことができます。

 

こちらが手伝うのは、

計算し始める反応を選ぶことです。

 

泣いて計算しない反応を選んでいる子に、

別の反応:計算し始めることにリードします。

 

「どうしたの?」や、

「泣きやみなさい・・」としません。

 

静かに泣いて計算しないことは、

子どもが選んだことです。

 

子どもの選択を、

尊重します。

 

こちらが、子どもの選択を尊重すれば、

子どもも、こちらの選択を尊重してくれます。

そういうものです。

 

だから、

泣いていることを気にしないで、

泣いていない子と見なしてリードします。

 

目の前の子は、

泣いて、涙を落としているのですから、

見えていますが、

ここに目の焦点を置きません。

 

目に映っているだけ、

つまり、

見えても見ていない目の使い方で、

止まっているひき算 { \normalsize { \begin{array}{rr}\:\:\:1000 \\ - \:\:\:123 \\ \hline \end{array} }} \\ の計算を、

いきなり、

実況中継でリードします。

 

一の位の 0 と、3 を、

上から下に順に示して、

「引けない」、

「10-3=7」、

3 の真下を示して、

「ここ、7」です。

 

泣いている選択を尊重された子は、

こちらのリードを不思議と受け入れて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:1000 \\ -\:\:\:123\\ \hline \:\:\:\:\:7\end{array} }} \\ と書きます。

 

続いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:1000 \\ -\:\:\:123\\ \hline \:\:\:\:\:7\end{array} }} \\ の十の位の 0 を示して、

「1 減って、9」、

真下の 2 を示して、

「9-2=7」、

2 の真下を示して、

「ここ、7」です。

 

泣きながら、

見て、聞いている子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:1000 \\ -\:\:\:123\\ \hline \:\:\:\:77\end{array} }} \\ と書きます。

 

そして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:1000 \\ -\:\:\:123\\ \hline \:\:\:\:77\end{array} }} \\ の百の位の 0 を示して、

「1 減って、9」、

真下の 1 を示して、

「9-1=8」、

1 の真下を示して、

「ここ、8」です。

 

見て、聞いている子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:1000 \\ -\:\:\:123\\ \hline\:\:877\end{array} }} \\ と書きます。

 

1 問の計算が終わります。

泣くことをやめていることがあります。

まだ泣いていることもあります。

 

どちらであっても、

泣いて計算しない反応を選んだままで、

計算し始める別の反応を、

新たに選ぶ体験を、

子どもはします。

 

(基本  {\normalsize {α}} -442)、(+-  {\normalsize {α}} -271)