思い付かない因数分解を、子どもから聞かれたら、自分が解こうとして、式を見ます。すると、瞬時に因数分解の仕方を思い付きます。だから、聞いた子に、すぐに式の見方を伝えることができます。

少し込み入った因数分解です。

 

問題の配列は、

 {a^{2}+2ab+b^{2}+ax+bx= }

 {a^{2}-2ab+b^{2}-ax+bx= }

 {ab-ac-b^{2}+2bc-c^{2}= }

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= }

 {ab+ac-b^{2}-2bc-c^{2}= } です。

 

このような配列の

4 番目の因数分解の仕方が、

この子には、思い付きません。

 

そしてこの子から、

因数分解の仕方を聞かれます。

 

 

聞かれたこちらは、

4 番目の因数分解

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を見て、

自分が因数分解しようとします。

 

この子に、

教えようとしません。

 

自分が因数分解しようとするから、

式全体を見て、

瞬時に因数分解を思い付きます。

 

教えようとしていないからです。

自分が解こうとしているから、

瞬時に気付きます。

 

 

瞬時に気付いたのは、

2 つの部分に分けることです。

 

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= }= を、

 {a^{2}-b^{2} } 」と、

 {-ac+bc= } 」に分けます。

 

 {a^{2}-b^{2} } 」は、

頭の中で、

 {a^{2}-b^{2}=(a+b)(a-b) }

因数分解を思い付いています。

 

同じように、

 {-ac+bc= } 」は、

頭の中で、

 {-ac+bc=-c(a-b) } を、

思い付いています。

 

つまり、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= }

左 2 項から、

 {(a+b)(a-b) } が見えて、

右 2 項から、

 {-c(a-b) } が見えます。

 

自分が解こうとしているから、

この子に教えようとしていないから、

このように、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を、

見ることができます。

 

ですから、

左 2 項と、右 2 項に分けて見ることを、

この子に教えれば、

この子も、

左 2 項から、

 {(a+b)(a-b) } が見えて、

右 2 項から、

 {-c(a-b) } が見えるはずです。

 

と、

このようなことを、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を、

自分が因数分解しようとすれば、

すぐに思い付きます。

 

 

実は、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を見て、

このような因数分解を思い付く力を、

子どもに教えることができません。

 

自分が、

繰り返し因数分解を解いていると、

自然に持つ力だからです。

 

子どもも、

繰り返し因数分解を解けば、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を、

少し離れた視点から見るだけで、

すぐに、自動的に、

思い付く力を持つことができます。

 

式を見るだけで、

因数分解を思い付く力は、

因数分解を繰り返した結果、

子どもが自然に持つものです。

 

だから、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } のように、

因数分解の仕方を思い付かなくて、

子どもから聞かれたら、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= }

 {a^{2}-b^{2} } 」と、

 {-ac+bc= } 」を区切るように、

縦に短い線を引いて、

2 つに分けて見ることを教えます。

 

くどいようですが、

因数分解の仕方を思い付くこと自体を

子どもに教えているのではありません。

 

こうすれば・・を教えて、

この子が、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= }

因数分解できるように手伝っているだけです。

 

 

さて、

子どもは、

待てないのが普通です。

 

聞いたら、

待たされることなく、

すぐに答えてほしいのです。

 

待たせると、

イライラさせられて、

時間が掛かったこちらの答えを、

集中して聞くことができなくなります。

 

こうなることを防ぐ唯一の方法が、

子どもから、

聞かれたらすぐに答えることです。

 

 

何かを教えようとして、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を、

こちらが見て考えると、

こちらが考えている時間を、

子どもは待てないのが普通です。

 

ほとんど気付くことのないことですが、

教え方を考えている時間は、

自分が解き方を考えている時間より、

とても長くなるのが普通です。

 

だから、

教えるために見ることをやめて、

自分が解くためだけに絞って、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を見ます。

 

すると、

 {a^{2}-b^{2}-ac+bc= } を、

左 2 項と、右 2 項に分けることに、

瞬時に気付いて、

聞いた子にすぐに、

 {a^{2}-b^{2}|-ac+bc= } のように、

縦の短い線を無言で引くことができます。

 

聞いてすぐに

答えてもらえたこの子は、

「あっ」となります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -494)、(分数  {\normalsize {α}} -205)