2 の段の九九を、
6 秒を切って、
一息で、早口で唱えることができます。
子どもが、
手にストップウォッチを持ち、
自分で時間を測って、
「にいちがに、ににんがし、・・」と唱えます。
確かに、5 秒台で唱え終わります。
そして、
3 の段の九九を、
同じように、
6 秒を切る速さにしようとして、
繰り返し練習します。
理由は不明ですが、
この子は、
泣きながらです。
泣きながら、
ストップウォッチで、
自分で時間を測って、
「さんいちがさん、さんにがろく、・・」と
速く唱える練習をしています。
このような子に、
普通に見られる指導が、
泣いていることをやめさせることです。
「どうしたの?」から聞き始めて、
「どこか、痛いの?」や、
「嫌なの?」や、
アレコレです。
もちろん、
このような指導をすると、
子どもは、
ストップウォッチで時間を測って、
3 の段の九九を、
早口で唱える練習を、
中断してしまいます。
こちらから、
「どうしたの?」と聞かれたら、
聞かれたことを無視して、
それでも、
3 の段の九九を
早口で唱える練習を続ける子は、いません。
子どもにしたら、
「あ~ぁ、
3 の段の九九を練習しているのに・・」です。
確かに、
この子は、
泣いています。
見れば分かります。
でも、
3 の段の九九を、
ストップウォッチで時間を測って、
早口で唱える練習もしています。
泣きながらですが、
「さんいちがさん、さんにがろく、・・」と、
早口で唱える練習をしています。
泣いていることではなく、
3 の段の九九を
早口で唱えている子の
様子を見れば、
夢中になっていると、
よく分かるはずです。
でも、
子どもが夢中になって練習している
3 の段を早口で唱えることだけを、
冷静に見ることは、
ほとんどありません。
さて、
少し脇道にそれますが、
算数の計算を教えるときの教え方は、
大きく二つに分かれます。
一つは、
「入れる学び」の「入れ方」指導です。
もう一つは、
「出す学び」の「出し方」リードです。
「入れる学び」で、入れる対象が、
理解です。
計算の仕方や、
間違いの訂正の仕方や、
九九の覚え方の
理解を求めます。
言葉で説明することが多いようです。
「出す学び」で、出す対象が、
何かの結果です。
計算の答えや、
間違った計算の正しい計算や、
スラスラと唱えられる九九のような
何かの結果を出させようとします。
また、
話を戻します。
泣きながら、
ストップウォッチで時間を測って、
「さんいちがさん、さんにがろく、・・」と
速く唱える練習をしている子です。
「入れる学び」で、
何かを理解させようとしていれば、
つまり、
何かを理解させようとする気持ちが、
少しでもあれば、
泣いていることを気にしてしまいます。
泣いたままの子であれば、
こちらの話を聞いて、
何かを理解することが難しいからです。
一方で、
「出す学び」で、
3 の段の九九を、
6 秒を切る速さで唱えることを、
出させようとしていたら、
泣いていることが、
少しも気になりません。
泣いたままの子に、
泣いていることを少しも気にしないで、
泣いたままにさせておいて、
3 の段の九九で、言いにくそうな
「さんしちにじゅういち、さんぱにじゅうし、
さんくにじゅうしち」を、
唱えている子どもに伴走するように、
子どもの唱え方をリードするようにします。
目の前の子がしていることは、
2 つです。
同時に、
並行して、
2 つのことをしています。
1 つは、
泣くことです。
もう 1 つは、
「さんいちがさん、さんにがろく、・・」と
3 の段の九九を
速く唱える練習です。
こちらに、
「入れる学び」で、
何かを理解させようとする気持ちが、
少しでも残っていれば、
泣くことを気にして、
先に、
泣くことをやめさせるようにします。
自動的に、
3 の段を速く唱える練習が、
中断されます。
泣くことをやめることと、
3 の段を速く唱える練習を、
同時に、
並行して、
行なうことができないからです。
しかし、
こちらが、
100%「出す学び」であれば、
泣いていることをそのままにして、
泣いたままの子に、
唱えることが難しそうな
「さんしちにじゅういち、さんぱにじゅうし、
さんくにじゅうしち」を、
唱える手助けをします。
お勧めは、
100%「出す学び」になることです。
(基本 -518)、(×÷ -113)