分数の四則混合の計算の一部分の計算が、見たことのない計算に見えてしまうことが、起こります。子どもに、そのように見えていることを受け入れて、計算できない四則混合の一部分の計算の答えの出し方をリードします。これで、また一つ、子どもが育ちます。

(2-1 {\Large\frac{1}{3}} )× {\Large\frac{4}{5}}= の四則混合を、

計算して、そして、

答えを出すことができます。

 

(2 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} )×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )= の四則混合は、

計算順を決めることと、

計算する余白を決めることをできますが、

1 番目の計算の

分数のひき算をできません。

 

 

問題 (2-1 {\Large\frac{1}{3}} )× {\Large\frac{4}{5}}= の

この子の計算の仕方を、

以下に詳しくみます。

 

答えを出すために、

最初に、

計算順を決めます。

 

式を眺めるだけで、

計算順を決めます。

 

① かっこの中の - 、

② かっこの外の × の順です。

 

次に、

ひき算と、かけ算を計算する余白を決めます。

「ここで、計算しよう・・」との余白です。

 

この計算順を決めることと、

計算する余白を決めることを、

この子は、

半ば習慣のように行います。

 

 

半ば習慣のようになっているということは、

「計算順は?」や、

「どこの余白?」のような言葉で、

この子は動いていません。

 

頭の中に四則混合の

このような計算をリードする

イメージの塊のようなものがあって、

そのリードで、

この子は、

計算順を決めて、

計算する余白を決めています。

 

とても不思議な力です。

 

もちろん、

半ば習慣化した行動を、

言葉で教えることなどできません。

 

(2-1 {\Large\frac{1}{3}} )× {\Large\frac{4}{5}}= や、

(2 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} )×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )= のような

四則混合を計算する前に、

こちらがこの子をリードして、

「計算順は?」と聞いて、

この子に、

計算順を決めさせて、

計算する余白を、

「これ、ここ」と指定することを、

繰り返したからです。

 

このようなリードを繰り返すだけで、

子どもが自然に、

半ば習慣のように

計算する前に計算順を決めるような

計算行動をできるようになります。

 

 

このように計算の仕方を、

自力でデザインしたら、

余白で計算します。

 

1 番目は、

2-1 {\Large\frac{1}{3}} のひき算です。

 

2-1 {\Large\frac{1}{3}}=1 {\Large\frac{3}{3}}-1 {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{2}{3}} と、

余白で計算します。

 

2 番目のかけ算は、

1 番目の答え  {\Large\frac{2}{3}} に、

 {\Large\frac{4}{5}} を掛けます。

 

 {\Large\frac{2}{3}}× {\Large\frac{4}{5}} {\Large\frac{2×4}{3×5}} {\Large\frac{8}{15}} と、

別の余白で計算します。

 

そして、

(2-1 {\Large\frac{1}{3}} )× {\Large\frac{4}{5}} {\Large\frac{8}{15}} です。

 

これだけのことを行う

いくつかの半ば習慣のような計算行動を、

この子はできます。

 

問題 (2-1 {\Large\frac{1}{3}} )× {\Large\frac{4}{5}}= を見て、

計算する前に、

計算順と、

それぞれの計算を行う余白を決めて、

つまり、

頭の中で、計算の仕方をデザインして、

この後、

2 つの計算を、

2 箇所の余白で行います。

 

このようなことを、

半ば習慣化して、

この子はしています。

 

 

でも、

問題 (2 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} )×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )= は、

少し様子が違います。

 

計算順を、

① 左のかっこの中の - 、

② 右のかっこの中の + 、

③ かっこの外の × と、

半ば習慣化して決めることができます。

 

それぞれを計算する余白を、

半ば習慣化して、決めます。

 

ここまでは、

(2-1 {\Large\frac{1}{3}} )× {\Large\frac{4}{5}}= の計算と同じです。

 

ここまで、

計算の仕方をデザインできたのですから、

1 番目の計算、

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} を計算すると、

この子は分かっていますが、

まったく手が出ません。

 

できません。

 

 

この子の今の計算力では、

(2-1 {\Large\frac{1}{3}} )× {\Large\frac{4}{5}}= の中の

1 番目の計算、

2-1 {\Large\frac{1}{3}} は、できます。

 

でも、

(2 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} )×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )= の中の

1 番目の計算、

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} は、

見たことのない計算なのです。

 

「どうして?」ではなくて、

「見たことのない計算に見えている」なのです。

 

 

事実として、

受け入れてしまい、

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} の答えの出し方を、

こちらの計算を実況中継して見せます。

 

このように受け入れて、

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} の答えの出し方を教えれば、

この子が、

今できる他の力が保護されます。

 

「どうしたの?」や、

「できるでしょ・・」としません。

 

このようなネガティブな指導をすると、

この子の今できる力が

どこか失われる危険があるからです。

 

 

以下は、

こちらが見せる実況中継の例です。

 

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} の分母を、

12 と、3 の順に示して、

「12÷3 、割り切れる」、

「下、12」とリードして、

共通分母 12 を出します。

 

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}}= としてから、

左の分数  {\Large\frac{1}{3}} の分母を 12 に変えます。

 

3 を示して、

「3×4=12、下」、

1 を示して、

「1×4=4、上」とリードすれば、

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}}=2 {\Large\frac{4}{12}} と子どもが書きます。

 

-1 {\Large\frac{11}{12}} を、

「これ、ここ」で、

そのまま転記させれば、

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}}=2 {\Large\frac{4}{12}}-1 {\Large\frac{11}{12}}= です。

 

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}}= の分子、

4 と、11 を順に示して、

「引けない」、

 {\Large\frac{4}{12}} の 2 を、1+1 に分けて、

右の 1 を、 {\Large\frac{12}{12}} にしてから、

 {\Large\frac{12}{12}} の分子 12 と、

 {\Large\frac{4}{12}} の分子 4 を足して、16 にすれば、

 {\Large\frac{4}{12}}-1 {\Large\frac{11}{12}}=1 {\Large\frac{16}{12}} です。

 

-1 {\Large\frac{11}{12}} を、

「これ、ここ」で、転記させれば、

 {\Large\frac{4}{12}}-1 {\Large\frac{11}{12}}=1 {\Large\frac{16}{12}}-1 {\Large\frac{11}{12}}= です。

 

ここまでリードすれば、

子どもは、「分かった」となり、

 {\Large\frac{16}{12}}-1 {\Large\frac{11}{12}} {\Large\frac{5}{12}} と計算できます。

 

 

このように、

(2 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} )×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )= の1 番目の計算、

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} が、

見たことのない計算に、

見えているこの子を受け入れて、

答えの出し方をリードして計算することで、

この子に残っている

他の計算力がそのまま残されます。

 

だから、この子は、

2 番目の計算  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} を、

 {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} {\Large\frac{10}{15}} {\Large\frac{6}{15}} {\Large\frac{16}{15}}=1 {\Large\frac{1}{15}} と、

自力で計算できます。

 

さらに、

3 番目の計算  {\Large\frac{5}{12}}× {\Large\frac{16}{15}} を、

 {\Large\frac{5}{12}}× {\Large\frac{16}{15}} \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{5}\end{matrix}\,}{\begin{matrix}\cancel{12}\\3\end{matrix}\,}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}4\\\cancel{16}\end{matrix}\,}{\begin{matrix}\cancel{15}\\3\end{matrix}\,}} {\Large\frac{4}{9}} と、

自力で計算できます。

 

 

実は、

できるはずの計算が、

見たことのない計算に見えてしまうことは、

よく起こります。

 

 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}}= を、

単独で計算させれば、

自力で計算できます。

 

でも、

(2 {\Large\frac{1}{3}}-1 {\Large\frac{11}{12}} )×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )= の中の

一部分の計算になっていると、

見たことのない計算に見えてしまいます。

 

子どもには、

本当にそう見えています。

 

とても不思議なことですが、

よく起こります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -537)、(分数  {\normalsize {α}} -228)