漠然とした難しさを感じたら、逃げるのが普通です。子どもがどこに逃げようと、逃げたことを受け入れてしまえば、逃げたこと自体が見えなくなり、それから、答えの出し方の実況中継を見せて、計算に戻します。

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ や、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  15 \\ \:\times  \:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算の

繰り上がりの計算で、

たつきます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ でしたら、

4×9=36 の 3 が繰り上がり、

4×2=8 に足します。

 

8+3= のたし算ですから、

この子の計算の立ち位置に

含まれる計算です。

楽にスラスラとできるはずです。

 

でもそれは、

8+3= と書いてあるときです。

 

8+3= と書いてあれば、

見ただけで、

瞬時に、答え 11 を出す力が、

この子の計算の立ち位置に含まれます。

 

ですが、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算の中の

繰り上がりのたし算 8+3= は、

4×2=8 の 8 も、

4×9=36 の繰り上がり数の 3 も、

すべて、この子の頭の中にあります。

 

8+3= と、

どこにも書いてないのです。

 

この子の計算の立ち位置に、

含まれていません。

初めての計算です。

 

8+3= と書いてあるときと、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算の中の

繰り上がりのたし算 8+3= は、

この子には、

まったく違う計算です。

 

つまり、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算の中の

繰り上がりのたし算 8+3= に、

もたつくのが普通です。

 

 

今は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算の中の

繰り上がりのたし算 8+3= に、

難しさを感じています。

 

難しさを感じたら、

逃げる子がほとんどで、

この子の逃げた先が、

いたずら書きです。

 

珍しいことではありません。

 

でも、

いたずら書きをしたままでは、

計算の答えを出せません。

 

計算の答えを出す練習をしないと、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算の中の

繰り上がりのたし算 8+3= は、

難しいままです。

 

 

このようなとき、

この子はただ

「計算の答えを出していない」とだけ見ます。

 

「いたずら書きをしている」と見るような

役割ではありません。

 

こちらの役割は、

答えを出す手伝いです。

 

この役割に徹して、

「計算の答えを出していない」と見ます。

 

このような子どもの見方を、

パラダイムと言うようです。

 

 

重要なことですから、

もう少し詳しく話します。

 

「計算の答えを、

どのように出しているのか?」だけを見る

特殊なメガネをかけて見ることを想像します。

 

答えを出す手伝いをする役割ですから、

「答えの出し方」だけを見る

特殊なメガネで子どもを見るようにします。

 

計算していないこの子を、

このメガネで見ると、

「計算の答えを出していない」と見えます。

 

やや不自然な言い方ですが、

「計算の答えを出すスピードがゼロ」です。

 

なお、

このメガネで見ると、

いたずら書きをしていることが、

まったく見えません。

 

 

さて、

このメガネで見ると、

「計算の答えを出していない」が見えますから、

こちらが答えを出す実況中継を見せて、

「計算の答えを出す」ように誘います。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の 4 と 9 を示しながら、

「しくさんじゅうろく(4×8=36)」、

4 の真下を示して、

「ろく(6)」、

「指、さん(3)」です。

 

いたずら書きをしていることが、

こちらに見えているはずなのに、

何も言われないで、

いきなり、

4 と 9 が示されて、

「しくさんじゅうろく(4×8=36)」と聞こえ、

4 の真下が示されて、

「ろく(6)」、

「指、さん(3)」と聞こえます。

 

一瞬、「叱られる」と構えたこの子は、

完全な肩透かしを食らって、

無抵抗で、

計算の答えを出すことに引きずり込まれます。

 

こうなると、

この子と、

こちらの協力関係が成立しますから、

「計算の答えを出す」ことに戻ります。

 

1~2 問、

こちらの計算の答えの出し方の

実況中継を見せて手伝い終わります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -572)、(×÷  {\normalsize {α}} -123)