筆算のかけ算の繰り上がりのたし算を、習ったとき、慣れるまでは、ひどく混乱する子が多いことを理解して、目の前の子がそうなっても、「なったか・・・」のように、待ち構えています。

{\normalsize{\begin{array}{rr} 29 \\\:\times\:\:\: 3 \\ \hline \end{array}}}\\  の筆算のかけ算は、

3×9=27  、

3×2=6  、

6+2=8  の3回の計算から答えを出します。

 

3回の計算の最後の  6+2=8  が、

繰り上がりのたし算です。

 

 

この繰り上がりのたし算は、

1 を足すことから、

8 を足すことまで、

さまざまなのです。

 

{\normalsize{\begin{array}{rr} 38 \\\:\times\:\:\: 2 \\ \hline \end{array}}}\\  でしたら、

3回の計算が、

2×8=16  、

2×3=6  、

6+1=7  ですから、

最後の  6+1=7  が,

1 を足すたし算です。

 

{\normalsize{\begin{array}{rr} 39 \\\:\times\:\:\: 9 \\ \hline \end{array}}}\\  でしたら、

3回の計算が、

9×9=81  、

9×3=27  、

27+8=35  ですから、

最後の  27+8=35  が,

8 を足すたし算です。

 

 

さて、

このような筆算のかけ算の

繰り上がりのたし算は、

多くの子が、

大きく戸惑ってしまい、

たし算の答えを出せなくなるところです。

 

でも、

繰り上がりのある  {\normalsize{\begin{array}{rr} 29 \\\:\times\:\:\: 3 \\ \hline \end{array}}}\\  のような

筆算のかけ算まで進んだ子です。

 

たし算の答えが瞬時に出る

「たし算の感覚」を持っています。

 

だから、

繰り上がりのたし算  6+2=  は、

答え 8 が、

瞬時に出るはずです。

 

 

でも実際は、

瞬時に答え 8 が、

出ないどころではありません。

 

6+2=  の答え 8 を、

6 から、7、8 と 2回数えて、

出すこともできないのです。

 

ここまでひどい戸惑い方をしています。

 

 

こちらは、

驚かないのです。

 

{\normalsize{\begin{array}{rr} 29 \\\:\times\:\:\: 3 \\ \hline \end{array}}}\\  のような

繰り上がりのあるかけ算を習うとき、

このような戸惑い方をすることを知っていて、

目の前の子がこうなったら、

「この子は戸惑っているだけ」と、

待ち構えているからです。

 

そして、

繰り上がりのたし算  6+2=  の答えを

出せなくなっている子に、

「はち(8)」のように、

ただ答えだけを言うことや、

「しち、はち」と言うことで、

たし算  6+2=  の答え 8 を

出してみせることで、

{\normalsize{\begin{array}{rr}29\\\:\times\:\:\:\: 3 \\ \hline \:\:\:87\end{array}}}\\  と書かせてしまいます。

 

 

答えを出せなくなっているたし算を、

手伝って教えているのではありません。

 

繰り上がりのたし算の答えを出せなくなるまで

ひどく混乱している戸惑いを

子どもが自力で乗り越えることを手伝っています。

 

(基本  {\normalsize {α}} -1219)、(×÷  {\normalsize {α}} -217)