筆算のたし算の繰り上がり計算を、次のたし算の答えに 1 を足すと、先回りして決めるようになるのは、こうできる体験知を持った後です。言葉で教えても、先回りして待ち構える繰り上がり計算を、できません。

 {\normalsize { \begin{array}{rr}76\\ +\:18\\ \hline \end{array} }} \\ の 6 と 8 を見て、

答え 14 を瞬時に出して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr}76\\ +\:18\\ \hline \:\:\:\:4\end{array} }} \\ と書いて、

次の計算で、1 増えると承知して、

7 と 1 を見て、

答え 8 を瞬時に出して、

先回りして待ち伏せていた通りに、

1 増やして、

9 にして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr}76\\ +\:18\\ \hline\:\:94\end{array} }} \\ と書きます。

 

3~4 秒で計算して、

答えを書き終わります。

 

この子が、

繰り返し練習という体験を通して修得した知識、

体験知に動かされています。

 

繰り上がり数 1 と書くと、

この子が実際にしている計算から、

外れてしまいます。

 

 

一の位の 6+8=14 を出したとき、

十の位の計算の答えが、

1 増えると先回りして決めています。

 

繰り上がり数 1 を覚えるのではなくて、

十の位の計算の答えが、

1 増えると、

十の位の計算をする前に、

先回りして決めています。

 

こう決めた後で、

十の位の 2 つの数 7 と 1 を見て、

7+1 の答え 8 を出して、

1 増えると決めた通りに、

9 にしています。

 

このようなことを、

この子はしています。

 

この子が、

自然にこのような計算をできるのは、

筆算のたし算を

繰り返し練習した結果、

このようにする体験知を持ったからです。

 

このような体験知が、

繰り上がりとかを意識することなく、

この子をリードして、

たし算の繰り上がりを

淡々と計算させてしまいます。

 

 

もちろん、

初めの頃は、

まったく違う計算をしています。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr}76\\ +\:18\\ \hline \end{array} }} \\ の 6 と 8 を見て、

6+8= と解釈して、

暗算の形に書いてある 6+8= と

同じだと理解して、

答え 14 を出して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr}76\\ +\:18\\ \hline \:\:\:\:4\end{array} }} \\ と書いて、

1 を指に取ります。

 

と、

このような計算が、

初めの頃の計算です。

 

繰り上がり数 1 を覚えるのではなく、

指に取ります。

 

十の位の計算の答えに、

指に取った 1 を使う・・のように

ハッキリと決めていません。

 

ただ、

計算の流れを追いかけて、

後追いの計算のままに、

指に 1 を取ります。

 

そして、

十の位の 2 つの数 7 と 1 を見て、

7+1= と解釈して、

暗算の形に書いてある 7+1= と

同じだと理解して、

答え 8 を出して、

指に取った 1 を見て、

8 を、1 増やして、

9 にするような計算です。

 

 

この子に、

1 を指に取るのではなく、

次の十の位のたし算で、

1 増えると待ち構えるのだよ・・と

言葉で説明しても、

理解できません。

 

言葉で説明されて、

理解して、

十の位の計算の答えが、

1 増えると先回りして決めることが

できるようになる学習知ではないからです。

 

繰り返し練習して、

いつの間にか自然に、

十の位の計算の答えが、

1 増えると先回りして決めることが

できるようになる体験知だからです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -614)、(+-  {\normalsize {α}} -341)