2けたの筆算のたし算の答えが、3けたになると、繰り上がり数 1 と勘違いしてしまう 1 を、答えとして書きます。このことが、子どもを強く戸惑わせます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の計算で戸惑います。

 

この子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ を、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:64\end{array} }} \\ と、7~8秒で計算できます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の 9 と 5 を見て、

9+5=14 と足して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:4\end{array} }} \\ と、4 を書いて、

繰り上がり数 1 を、指に取ります。

 

続いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:4\end{array} }} \\ の 4 と 1 を見て、

4+1=5 と足して、

指に取った 1 を足して、

5+1=6 として、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:64\end{array} }} \\ と書きます。

 

この一連のプロセスを、

7~8秒で終わらせるスピードのある子です。

 

 

それなのに、

同じように計算するだけの  {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ で、

ひどく戸惑います。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の 5 と 5 を見て、

5+5=10 と足して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:0\end{array} }} \\ と、0 を書いて、

繰り上がり数 1 を、指に取ります。

 

ここまでは、

楽に計算できます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ と同じような計算だからでしょう。

 

続いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:0\end{array} }} \\ の 8 と 1 を見て、

8+1=9 と足して、

指に取った 1 を足して、

9+1=10 とするあたりから、

戸惑い始めるようです。

 

「えっ、また繰り上がるの?」のような

ボンヤリとした戸惑いのようです。

 

そして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline100\end{array} }} \\ と書くことに抵抗します。

 

「えっ、1 を覚えるのではないの?」、

「書いてしまうの?」のような

繰り上がり数なのに、

1 を指に取らないで、

書いてしまうことへの戸惑いです。

 

このようなたし算に慣れてしまえば、

このようなことを思わないのですが、

初めて出会うと、

「繰り上がり数 1 を、書いてしまうの?」と、

戸惑うのが普通です。

 

 

繰り上がり数 1 を足して、

9+1=10 と、

またここで、

繰り上がり計算のように、

答えが 2けたになることや、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline100\end{array} }} \\ と、

繰り上がり数 1 のはずの 1 を、

書いてしまうことが、

この子を戸惑わせています。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の答えの出し方を、

初めて習った時の戸惑いと、

かなり違う戸惑いです。

 

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の 9+5=14 の 1 や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の 5+5=10 の 1 は、

それぞれに、

4+1=5 の 5 や、

8+1=9 の 9 のように、

繰り上がり数 1 を足す相手があるのです。

 

ですが、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:0\end{array} }} \\ の 9+1=10 の 1 は、

繰り上がり数 1 と思ったとしても、

この 1 を足す相手がないのです。

 

次のたし算がないからです。

 

 

このように、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:0\end{array} }} \\ の 十の位のたし算、

8+1=9 に、

一の位からの繰り上がり数 1 を足して、

9+1=10 となった 10 の 1 を、

繰り上がり数として覚えておいても、

2けたの数のたし算ですから、

次のたし算がありませんから、

十の位の繰り上がり数 1 を

足す相手がないのです。

 

だからといって、

繰り上がり数と思ってしまった 1 を、

百の位に書くと指示されても、

「えっ、どうして?」と戸惑うのです。

 

 

こういうことでの戸惑いを少なくするように、

こちらの教え方は、

始めから、

繰り上がり数と言いません。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の 5 と 5 を示して、

「5+5=10」、

5 の真下を示して、

「ここ、0」、

「指、1」です。

 

「繰り上がり数」ではなくて、

「指」です。

 

子どもが  {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:0\end{array} }} \\ と書くのを待ってから、

8 と 1 を示して、

「8+1=9」、

子どもが指に取っている 1 を触って、

「1 増えて、10」、

15 の 1 の真下を示して、

「ここ、10」です。

 

このようにサラリとリードされると、

「えっ、指に 1 を取るのではないの・・」と、

ボンヤリと戸惑うのでしょうが、

それでも、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline100\end{array} }} \\ と、

子どもは書きます。

 

 

書くことで、

このように書くことが、

この子の既成事実になります。

 

「繰り上がり数 1 を書くこともある」のような

既成事実です。

 

それでも、

ここでの戸惑いは、

とても強いようで、

5~6問や、

7~8問と、

既成事実を積み上げる必要があります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -674)、(+-  {\normalsize {α}} -370)