2けたの筆算のたし算を、モタモタ・ダラダラのときと、テキパキ・サッサのときで、体験知の質が大きく違います。例えば、集中力や、繰り上がりのたし算の計算の仕方が、違います。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 85 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \end{array} }} \\ の筆算のたし算の答えを、

モタモタ・ダラダラと出しています。

 

このままでは、

自ら答えを出すことで学ぶ体験知の

質が悪くなります。

 

「自ら答えを出す」体験をすることで、

学べる体験知があり、

その体験知の質が悪くなります。

 

つまり、

テキパキ・サッサと

速いスピードで答えを出すときと、

モタモタ・ダラダラと

遅いスピードで答えを出すときとで、

まったく違う質の体験知になります。

 

 

だから、

今のモタモタ・ダラダラとした

答えの出し方をリードして、

テキパキ・サッサとした

答えの出し方に入れ替えてしまいます。

 

そして、

「自ら答えを出す」体験で得られる体験知を、

質の悪い今から、

質の高いものに入れ替えてしまいます。

 

 

次のようなリードが、

リードの仕方の実例です。

 

モタモタ・ダラダラと答えを出している子に、

まったく突然に割り込み、

いきなりこちらの計算の実況中継を見せます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \end{array} }} \\ の 8 と 3 を、

テキパキ・サッサとした無言の動作で示し、

「8+3=11」、

3 の真下を、無言の動作で示し、

「いち(1)」、

「指、いち(1)」と、

歯切れの良い口調で言い切ります。

 

モタモタ・ダラダラの子は、

まったく突然に割り込まれて、

やや驚きながら、

でも、こちらのテキパキ・サッサとした

無言の動作や口調に鼓舞されて、

指を 1本、サッと伸ばして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \:\:\:\:1\end{array} }} \\ と書きます。

 

この子の動きが変わり始めたことを見て、

こちらの計算の実況中継を続けます。

 

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \:\:\:\:1\end{array} }} \\ の 6 と 9 を、無言の動作で示し、

「6+9=15」、

子どもが指に取っている 1 を触って、

「いち(1)増えて、じゅうろく(16)」と言い、

9 の真下を示します。

 

モタモタ・ダラダラから、

テキパキ・サッサに入れ替わった子が、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline161\end{array} }} \\ と書きます。

 

続けて、

同じようなリードで、

4~5問、テキパキ・サッサを体験させます。

 

こうして、

こちらがリードしている 4~5問の間、

モタモタ・ダラダラの質の悪い体験知から、

テキパキ・サッサの質の高い体験知へ

入れ替えてしまいます。

 

 

さて、

「自ら答えを出す」体験で得られる体験知は、

モタモタ・ダラダラと答えを出すときと、

テキパキ・サッサと答えを出すときとで、

その質が、大きく違います。

 

このような質の違いの分かりやすい内容を、

2つ紹介します。

 

集中力と、

繰り上がりのたし算の計算の仕方です。

 

 

1つ目は、集中力です。

 

集中力の質に違いがあることは、

日常生活のさまざまな活動を通して、

実感できているはずです。

 

算数の計算でも、

日常生活で感じていることと同じです。

 

モタモタ・ダラダラのときと、

テキパキ・サッサのときとで、

集中力の体験知が、

まったく違います。

 

モタモタ・ダラダラのとき、

質の低い集中力が体験知になります。

 

浅くて、

そして、切れやすい集中力です。

 

テキパキ・サッサのとき、

質の高い集中力が体験知になります。

 

深くて、

そして、切れにくい集中力です。

 

 

2つ目は、

繰り上がりの計算の仕方です。

 

モタモタ・ダラダラのとき、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \:\:\:\:1\end{array} }} \\ と書いて、

繰り上がり数 1 を覚えますが、

後追いの計算になります。

 

十の位のたし算 6+9=15 の後で、

繰り上がりがあることを思いだして、

15+1=16 とする後追いです。

 

テキパキ・サッサのとき、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \:\:\:\:1\end{array} }} \\ と書いて、

「次のたし算の答えを 1 増やす」と、

先回りして待ち伏せます。

 

だから、

十の位のたし算 6+9= を計算するとき、

「答えを、1 増やす」と、

先回りして待ち構えています。

 

後追いではありません。

 

 

この 2つの違いのように、

「自ら答えを出す」体験の体験知が、

モタモタ・ダラダラのときと、

テキパキ・サッサのときとで、

その質が大きく違います。

 

もちろん、

テキパキ・サッサのときの体験知を、

子どもに持ってほしいと願うはずです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -779)、(+-  {\normalsize {α}} -416)