筆算のたし算で、繰り上がりがあるのにないような計算をするミスや、繰り上がりがないのにあるような計算をするミスは、正しい計算をつかむチャンスです。ただそれだけのことです。そして、正しい計算をつかむチャンスを、確実にものにさせます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline \end{array} }} \\ や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 17\\ +\: 12\\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算です。

 

ミスして、

そのミスを正すことで、

筆算のたし算の繰り上がりのあるなしの

正しい計算の仕方をつかみます。

 

 

繰り上がり計算に、

まだ十分に慣れていないとき、

繰り上がりがあるのに、

繰り上がりがないように計算して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline\:\:20\end{array} }} \\ のようなミスをします。

 

こちらは心の中で、

「ミスしてよかった」、

「ミスを正すことで、

正しい計算が残る」です。

 

何かのおまじないのように、

「ミスしてよかった」、

「計算の仕方をつかめる」と、

自分に言い聞かせます。

 

こうしないと、

とても悲しい事実ですが、

「真面目に計算しているのかなぁ?」、

「やる気があるのかなぁ?」のように、

ネガティブに見る傾向が、

人にあるからです。

 

他者を、

ネガティブに見てしまう悲しい事実で、

意外と根強い傾向です。

 

だから、

大げさであることを承知のうえで、

「ミスしたから、

その分、1回、多く学べる・・」のように、

ミスしたこと自体を、

ポジティブに見るような

イメージトレーニングをします。

 

こうして、

リードするこちらをポジティブにしてから、

ミスした計算  {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline\:\:20\end{array} }} \\ の直し方を教えます。

 

 

ミスの正し方ではなくて、

元の問題  {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline \end{array} }} \\

こちらの計算の実況中継を見せる教え方です。

 

ミスしたから直すのですけれども、

もう 1回多く計算の練習をできる・・と、

ポジティブに捉えます。

 

でも、

答えの書いてない  {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline \end{array} }} \\ ではなくて、

間違えている答え 20 が書いてある

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline\:\:20\end{array} }} \\ を、こちらは計算します。

 

 

以下は、

実況中継の実例です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline\:\:20\end{array} }} \\ の縦一列の

1 と 1 と 2 をペン先で隠して、

5 と 5 と 0 が見えるようにしてから、

「5+5=10」、

0 を示して、

「ゼロ(0)、合っている」、

「指、いち(1)」です。

 

見て聞いている子は、

「この 0 は、正しい」と納得して、

指を 1 本、伸ばします。

 

気の早い子は、

この段階で、

「あっ、繰り上がりを忘れていた・・」と、

気付くようですが、

それは子どものことです。

 

こちらは、

ミスした問題を、

もう 1回計算して、

正しい答えに直してしまう実演を続けます。

 

同じ問題  {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline \end{array} }} \\ を、

もう 1回多く計算しています。

 

2度目の計算は、

1度目の計算よりも、

計算スピードが速いのですから、

こちらは、

速い計算スピードを意識しています。

 

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline\:\:20\end{array} }} \\ の 1 と 1 を示しながら、

「1+1=2」、

子どもが指に取っている

繰り上がり数 1 を触って、

「1 増えて、3」、

子どもが書いた答え 20 の 2 を示して、

「ここ、3」です。

 

見て聞いている子は、

「繰り上がりを忘れていた・・」のような感じで、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 15\\ +\: 15\\ \hline\:\:30\end{array} }} \\ と書き直します。

 

 

繰り上がりの計算に慣れると、

子どもは、

繰り上がりがないのに、

ある種の惰性で、

繰り上がりがあるような計算をします。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 17\\ +\: 12\\ \hline \end{array} }} \\ は、繰り上がりがないのですが、

繰り上がりがあるように、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 17\\ +\: 12\\ \hline\:\:39\end{array} }} \\ と計算するミスです。

 

やはり、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 17\\ +\: 12\\ \hline\:\:39\end{array} }} \\ を計算し直して、

正す実演を見せます。

 

 

以下は、

実演で見せる実況中継の実例です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 17\\ +\: 12\\ \hline\:\:39\end{array} }} \\ の縦一列の

1 と 1 と 3 をペン先で隠して、

7 と 2 と 9 が見えるようにしてから、

「7+2=9」、

9 を示して、

「く(9)、合っている」、

「指、ない」です。

 

最後の

「指、ない」は、

わざとらしい実演です。

 

繰り上がりのないことを、

やや強調して伝えます。

 

見て聞いている子は、

「この 9 は、正しい」と納得して、

惰性で伸ばそうとする指を引っ込めます。

 

気の早い子は、

この段階で、

「そうだ。繰り上がりがない・・」と、

気付くようですが、

それは子どものことです。

 

ミスした問題を、

もう 1回計算していますから、

1度目に比べて、

2度目の速いスピードの計算を意識して、

正しい答えに直してしまう実演を続けます。

 

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 17\\ +\: 12\\ \hline\:\:39\end{array} }} \\ の 1 と 1 を示しながら、

「1+1=2」、

「指、ない」、

子どもが書いた答え 39 の 3 を示して、

「これ、2」です。

 

見て聞いている子は、

「繰り上がりがなかった・・」のような感じで、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 17\\ +\: 12\\ \hline\:\:29\end{array} }} \\ と書き直します。

 

(基本  {\normalsize {α}} -626)、(+-  {\normalsize {α}} -346)