算数や数学の計算を修得するには、
一定レベル以上の内面の強さが必要です。
子どもの内面を強くするには、
体を鍛えることに似ている面があって、
負荷を掛ける必要があります。
負荷に抗するように、
頑張ることで肉体が鍛えられるのですから、
これに似たように、
子どもの内面に、
負荷を掛ければ、
内面の強さを育てることができます。
でも、
算数や数学の計算を
修得するときに必要な内面の強さは、
子どもの内面に負荷を掛けるまでもなく、
計算を学ぶプロセスから、
自然に負荷が掛かります。
子どもは誰でも、
計算を間違えるからです。
計算を間違えて、
「×」が付くと、
「嫌だなぁ」と思うことで、
子どもの内面に自然に負荷が掛かります。
そして、
「嫌だなぁ」の気持ちに抗して、
間違えて「×」が付いた問題を直すことで、
子どもの内面が、強く育ちます。
つまり、
やや逆説的ですが、
計算を間違えて「×」が付くことは、
子どもの内面を強く育てる面で、
とてもいいことなのです。
自然に、
子どもの内面に負荷が掛かり、
「嫌だなぁ」に抗して直すだけで、
自然に、
子どもの内面が鍛えられて、
強さが育ちます。
さて、
や、
のような筆算のたし算を、
10問計算して、
すべて間違えて、
すべて、「×」です。
や、
のように、
すべて、繰り上がりを足していないミスです。
10問すべてに、「×」を見た子は、
「がっくり」です。
そして、
自然で自動的に、
この子の内面に、
とても強い負荷が掛かります。
ですが、
この子の内面を、
強く育てるチャンスですから、
おかしなようですが、
歓迎すべきことです。
自然に、
強い負荷が掛かっているからです。
もちろん、
10問すべての「×」に、
内面がつぶれてしまうと、
鍛えるどころではなくなりますが、
計算することができて、
その計算の結果から
自然に掛かった負荷ですから、
子どもはガッカリしますが、
内面がつぶれたりはしません。
ただ、
この子が自力で、10問を直すには、
負荷が大き過ぎるでしょうから、
こちらが少し、
負荷を肩代わりして、
でも、
この子の内面の強さが育つようにします。
次のように、
こちらの計算の実況中継で、
10問すべてに「×」が付いて、
ひどく落ち込んでいるこの子に、
速いスピードの計算を見せます。
の 5 と 5 を示して、
「5+5=10」、
子どもの答え 10 の 0 を示して、
「ゼロ(0)、合っている」、
「指、いち(1)」です。
子どもは、ひどく落ち込んでいても、
こちらのリードを見て聞いていますから、
「あぁ、そうだった」、
「いち(1)だった・・」のような感じです。
続くリードは、
の 15 の 1 を示して、
子どもが指に取った 1 を触って、
「1+1=2」、
子どもの答え 10 の 1 を示して、
「これ、に(2)」です。
子どもは、
自身の落ち込んでいる気持ちに抗して、
と書き直します。
こちらのリードは、
かなりの早口で、
しかもボソボソと話します。
こうすれば、
こちらのリードが、
落ち込んでいる子を元気づけませんから、
子どもは自力で、
落ち込む心に抗しなければなりません。
内面を強く育てる邪魔にならない話し方です。
早口ですから、
この 1問をリードして、
子どもが書き直す時間を入れても、
30秒もかかりません。
そして、
この 30秒の短い時間が、
いいのです。
落ち込んでいる心に抗して、
こちらのリードを見て聞いて、
書き直すのですから、
抗している時間は、
短い方が鍛錬の効果があります。
も同じようなリードで、
子どもの内面を強く育てる手伝いをします。
の 5 と 5 を示して、
「5+5=10」、
子どもの答え 20 の 0 を示して、
「ゼロ(0)、合っている」、
「指、いち(1)」です。
子どもは、
「これもだ・・」、
「いち(1)だった・・」のような感じです。
続くリードは、
の 2 つの 15 の 1 を示して、
「1+1=2」、
子どもが指に取った 1 を触って、
「いち(1)増えて、さん(3)」、
子どもの答え 20 の 2 を示して、
「これ、さん(3)」です。
子どもは、
と書き直します。
やはり、
30秒前後の短時間のリードです。
このようにして、
繰り上がりを足し忘れた 10問を、
30秒前後の短時間で、
1問ずつ直してしまい、
10問すべてを直してしまいます。
2~3問や、
4~5問を手伝い、
残りを自力で直させると、
10問すべて「×」で、
ひどく落ち込んでしまった心には、
負担が大きいようです。
10問すべてをリードして、
5分もかかりませんから、
直してしまう方が望ましいようです。
(基本 -628)、(+- -348)