不等式 3x > 4x+5 を解きます。
「不等式を解く」と、言います。
普通の言い方です。
が、していることは、
「不等式の変形」です。
変形にゴールがあります。
「x 、不等号、数字」の順に並ぶ形です。
「x 、不等号、数字」の順に並ぶ形になるように、
「不等式の変形」を繰り返すことが、
「不等式を解く」ことの正体です。
さて、
3x > 4x+5
3x-4x < 5
-x < 5
x < -5 のように解いた子です。
ゴールの形 : 「x 、不等号、数字」を、
この子の解 : x < -5 は満たしています。
そして、
解そのものは、
正しい解です。
ですが、
「不等式の変形」の仕方が、
正しいと認めて受け入れたルールを、
守っていない箇所があります。
2カ所です。
1番目は、
3x > 4x+5 の
不等号の右の 4x を、
不等号の左に移す変形です。
この子は、
3x-4x < 5 のように変形しています。
4x に、
-4x と、マイナスを付けています。
これは正しい変形です。
そして、
不等号の向きを、
> から、< に変えています。
この不等号の向きの変え方が、
正しいと認めたルールを守っていない部分です。
不等号の一部分を、
右から左や、
左から右に動かしたとき、
不等号の向きは変わりません。
これが、ルールです。
2番目は、
-x < 5 の x の前の - を、
x < -5 のように、
右側に移す変形です。
正確には、
「- を移す」変形ではなくて、
「-1 で、割る変形」です。
-x < 5 の両辺を、
-1 で割ります。
つまり、
-x÷(-1)=と、
5÷(-1)= を計算します。
すると、
x < -5 に変形されます。
計算自体は、正しくできています。
ですが、
不等号の両辺を、
マイナスの数で割ったとき、
不等号の向きを変えるのが、ルールです。
この子の変形は、
-x < 5
x < -5 ですから、
不等号の向きを変えていません。
間違った変形です。
ですが、
不等号の向きの変え方を、
2回間違えていますから、
不等式を解いた解 : x < -5 の
不等号の向きは、正しい向きです。
さて、
これだけの内容を、
この子に言葉で説明するとなると、
長時間、こちらの説明を聞いて、
そして理解して、
その後、内面で整理することで、
「なるほど」となります。
だからこちらからの説明をやめて、
この子に、
自分の「不等号の変形」を、
こちらに説明させるようにします。
するとこの子は、
3x > 4x+5
3x-4x < 5
-x < 5
x < -5 の変形の流れの
最初の変形を説明するだけで、
不等号の向きの変え方を、
曖昧に理解して、
曖昧なまま変形していることに気付きます。
こうなった子に、
「移項のとき、
不等号の向きを変えるのがルール?」と、
ほんの少し刺激するだけで、
この子はルールを正しく理解します。
「マイナスの数で、
両辺を割ったとき、
不等号の向きを変える」ことだけが、
ルールであることを、
説明させたからハッキリと理解できます。
(基本 -821)、(分数 -353)