2けたの筆算の足し算の答えを、自力で出す体験をすれば、子どもは必ず、何らかの体験知を得ます。体験知は知識ですから、繰り返し利用することができます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算の答えを、

自力で計算して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline161\end{array} }} \\ と書いて、出しています。

 

自ら計算して、

答えを出すことで、

子どもは、

体験することで学ぶことができる

体験知を得ています。

 

 

実は、

自ら計算して、答えを出す体験から

得ることができる体験知は、

答えを出すスピードで、

大きく違う内容になります。

 

モタモタ・ダラダラのスピードであろうが、

テキパキ・サッサのスピードであろうが、

自ら答えを出す体験をしていますから、

どちらの計算スピードであっても、

何かの体験知を得ています。

 

 

計算して、答えを出す体験ですから、

計算スピードと無関係の体験知があります。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \end{array} }} \\ の 8 と 3 だけを見て、

8+3=11  と計算すること、

11 の一の位の 1 を、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \:\:\:\:1\end{array} }} \\ と書くこと、

11 の十の位の 1 を、覚えること、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \:\:\:\:1\end{array} }} \\ の 6 と 9 だけを見て、

6+9=15  と計算すること、

覚えている 1 を、15+1=16  と足すこと、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline161\end{array} }} \\ と書くこと、

このような体験知は、

自力で答えを出せるようになったとき、

「なるほど、こうするのか!」と感じて、

得ることができる知識(体験知)です。

 

このような計算の順番を、

「なるほど!」と納得して感じることで得る知識

このような体験知は、

計算スピードと無関係です。

 

 

違いを説明することは難しいのですが、

計算手順を、

言葉で説明されて理解できた学習知と、

自力で答えを出す体験から、

「なるほど!」と感じた体験知とは、

同じではないのです。

 

例えば、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \end{array} }} \\ の 8 と 3 だけを見て、

見えている 6 と 9 を見ないような

見る対象を狭く絞る見方は、

自力で答えを出す体験から得られる体験知です。

 

言葉で説明するとき、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \end{array} }} \\ の 8 と 3 だけを見るような

見る対象を狭く絞る見方に触れないで、

8+3=11  と足すことから、

言葉で説明します。

 

一の位の 8 と 3 を見て・・・のような感じで、

8 と 3 だけに限ってみるようなことを

説明しないのが普通です。

 

 

集中の質と、

繰り上がり数 1 を覚える目的は、

計算スピードの影響を受けます。

 

答えを出すスピードが、

モタモタ・ダラダラのときと、

テキパキ・サッサのときとで、

得られる体験知が大きく違います。

 

 

モタモタ・ダラダラのときに得る集中の質は、

浅くて、

そして、切れやすいのです。

 

ちょっとした出来事に気を取られて、

計算から離れてしまう子は、

浅くて、

そして、切れやすい集中の質だからです。

 

体験して得られる体験知ですが、

知識ですから、

繰り返し利用可能なのです。

 

浅くて、

そして、切れやすい集中を

繰り返し利用する・・・と妙な表現ですが、

この子は、

集中の質の体験知を利用することで、

集中をプツプツと切らせてしまうのです。

 

 

一方で、

テキパキ・サッサのときに得る集中の質は、

深くて、

そして、切れにくいのです。

 

これも体験知ですから、

繰り返し利用することができます。

 

だからこの子は、

深くて、そして、切れにくい

集中の質の体験知を利用して、

一定の短い時間で、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 93 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算 50問を、

終わらせることができます。

 

(基本 [tex: {\normalsize {α}}] -873)、(+- [tex: {\normalsize {α}}] -465