子どもの計算力のレベルが、こちらの計算力のレベルよりも、かなり高いのであれば、子どもの答えの出し方を、受け入れることが難しいことを承知しておきます。

問題  6 {\Large\frac{1}{3}}-2 {\Large\frac{2}{5}}+1 {\Large\frac{3}{10}}=  を見て、

2~3秒後に、

答え 5 {\Large\frac{7}{30}} が出て、

 {\Large\frac{1}{3}}-2 {\Large\frac{2}{5}}+1 {\Large\frac{3}{10}}=5 {\Large\frac{7}{30}}  と書く子です。

 

高いレベルの計算能力を

特別な才能として授かっている子です。

 

 

さて、

この子の評価を、

少し考えてみます。

 

こちらが、

この子のような高いレベルの計算能力を

すでに持っているのでしたら、

「この子は、育った」、

「通分が必要な分数の加減の答えが、

問題を数秒間見るだけで出るようになった」と、

この子の育ちを評価するでしょう。

 

こちら自身が持っている力を、

この子も獲得して、

使えるようになったと評価します。

 

 

実は、

暗算のたし算では、

このように評価することが普通です。

 

7+8=  を見てすぐ、

答え 15 が出るようになって、

7+8=15  と書く子を見て、

「この子は、育った」、

「たし算の問題を、

見るとすぐ答えが出るようになった」と、

この子の育ちを評価します。

 

7+8=  のような暗算のたし算では、

このように評価するのが普通ですが、

 {\Large\frac{1}{3}}-2 {\Large\frac{2}{5}}+1 {\Large\frac{3}{10}}=  のような計算で、

2~3秒間見たら、

答え 5 {\Large\frac{7}{30}} が出る子に、

「この子は、育った」と、

評価しないのが普通です。

 

このように並外れて高い計算力自体が、

普通ではないからです。

 

 

こちらが、

この子のような高いレベルの計算能力を

持っていないのであれば、

でも、

 {\Large\frac{1}{3}}-2 {\Large\frac{2}{5}}+1 {\Large\frac{3}{10}}=  を通分して、

楽に計算できるレベルであれば、

「答えを覚えているのだろうか?」や、

「解答書を見たのだろうか?」や、

「途中式を書くのが好きではないらしい」や、

「無理して、頭の中で計算しているらしい」と、

評価します。

 

こちら自身の計算力が、

 {\Large\frac{1}{3}}-2 {\Large\frac{2}{5}}+1 {\Large\frac{3}{10}}=  の形を見て、

計算する前に、

頭の中で、瞬時に、

通分してからの加減で、

たし算を先にすれば、

計算が楽になると決めることからとします。

 

こちらが、

このレベルの計算力であるのでしたら、

先に、

頭の中でこのように決めてから、

3つの分母 3 と 5 と 10 を見て、

最小公倍数(共通分母) 30 を、

修得済みの感覚で出します。

 

共通分母を瞬時に出す感覚でしたら、

子どもをリードする立場を自覚して、

少し努力すれば持つことができます。

 

そして、

 {\Large\frac{1}{3}}-2 {\Large\frac{2}{5}}+1 {\Large\frac{3}{10}}

 {\Large\frac{10}{30}}-2 {\Large\frac{12}{30}}+1 {\Large\frac{9}{30}}=  と通分します。

 

通分した結果を、

途中式として書きます。

 

続いて、

 {\Large\frac{10}{30}}-2 {\Large\frac{12}{30}}+1 {\Large\frac{9}{30}}

 {\Large\frac{10}{30}}+1 {\Large\frac{9}{30}}-2 {\Large\frac{12}{30}}=  のように、

ひき算とたし算の計算の順番を入れ替えて、

途中式として書きます。

 

それから、

 {\Large\frac{10}{30}}+1 {\Large\frac{9}{30}}-2 {\Large\frac{12}{30}}

 {\Large\frac{19}{30}}-2 {\Large\frac{12}{30}}=  と、

たし算だけを計算して、

その答えと、

残っているひき算を、

途中式として書きます。

 

最後に、

 {\Large\frac{19}{30}}-2 {\Large\frac{12}{30}}

 {\Large\frac{7}{30}}  と、ひき算を計算して、

その答えを書きます。

 

このような途中式を書くことで答えを出すのが、

こちらの普通の計算力のレベルです。

 

 

さて、

目の前の子は、

 {\Large\frac{1}{3}}-2 {\Large\frac{2}{5}}+1 {\Large\frac{3}{10}}=  を 2~3秒間見るだけで、

答え 5 {\Large\frac{7}{30}} が出るのです。

 

こちらよりも、

目の前の子の計算力のレベルが、

かなり高いのですから、

困ったことに、こちらは、

この子の計算力を評価できないのです。

 

 

3つの分数の加減の

3つの分母の共通分母が、

感覚として出るレベルの計算力から、

こちらはこの子を見ています。

 

こちらよりも、

かなり高いレベルの計算力から、

この子を見ることを、

こちらがしようと思ってもできません。

 

そして、

「解答書を見たのだろうか?」や、

「無理して、頭の中で計算しているらしい」と、

この子の答えの出し方を解釈してしまいます。

 

こちら自身の計算力のレベルよりも

かなり高いレベルの計算力の計算を見ても、

「この子は、特別な才能を授かっている」と、

解釈することが難しいのです。

 

ですから、

こちら自身の計算力のレベルを自覚して、

こちらよりも、

高いレベルの計算力を評価することに、

このような危険があることを、

こちらは承知しておきます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -881)、(分数  {\normalsize {α}} -379)