2けた×2けたのかけ算に、2けた×1けたが隠されています。それを見せて、計算の仕方を教えます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\:\:\times \: 47 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×2けたの筆算のかけ算を、

初めて習います。

 

47の4を子どもの指先で隠させます。

こうすると、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \:\:\:\:\: 7 \\ \hline \end{array} }}\\ の筆算のかけ算が見えます。

2けた×1けたです。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \:\:\:\:\: 7 \\ \hline \end{array} }}\\ を、2けた×1けたの筆算のかけ算と見ることができれば、

楽にスラスラと計算できます。

 

「あぁ、あれだ!」と結び付けば、

計算できます。

そして、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \:\:\:\:\: 7 \\ \hline  224 \end{array} }}\\ と計算できます。

 

そうですが、子どもは

新しい計算式  {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\:\:\times \: 47 \\ \hline \end{array} }}\\ を見ています。

 

47の4を隠して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \:\:\:\:\: 7 \\ \hline \end{array} }}\\ だけが見えるようにして、

楽に計算できる2けた×1けたを見せても、

教えてもらうことを待って、

計算しないことがあります。

 

このようなとき、

非常識な教え方ですが、

いきなり計算をリードします。

 

「しちにじゅうし(7×2=14)」、

「し(4)、書いて」です。

子どもは、7の下に4を書きます。

 

続いて、

「しちさんにじゅういち(7×3=21)」、

「にじゅうに(22)」です。

子どもは、22を書きます。

 

このようにこちらがリードして、

子どもを参加させて、計算します。

 

計算を見て、

参加した子どもは、

「あぁ、あれだ!」と分かります。

 

「どうしたの?」、

「できるでしょ!」とはしません。

そういうことではないのです。

 

新しい計算は、

教えてもらうことが先だと思っているだけです。

 

こちらが計算して、

子どもに答えを書かせます。

 

普通の教え方ではありませんが、

でも子どもは教えてもらえたと思います。

 

子どもは、

「しちにじゅうし(7×2=14)」と聞いて、

自分でも計算し始めます。

 

「し(4)、書いて」で、4を書いたとき、

「やはりそうか」となります。

 

先に教えられて、その後で、

「分かった!」としたい子どもです。

 

続いて、

47の7を子どもの指先で隠させます。

 

こうすると、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline \end{array} }}\\ の筆算のかけ算が見えます。

 

でも、答224が書いてあります。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline  224 \end{array} }}\\ この224が、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline \end{array} }}\\ を見えにくくしています。

 

さらに、

×4 の4の位置が左にずれています。

 

32の2の下ではなくて、

3の下です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline  224 \end{array} }}\\ から、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline \end{array} }}\\ だけを見ることができれば、

2けた×1けたです。

 

そうですが、

見慣れている2けた×1けた  {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \:\:\:\:\: 4 \\ \hline \end{array} }}\\ と、

見た目がかなり違います。

それだけに子どもは戸惑います。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline \end{array} }}\\ だけを見ても、

見た目の違いに戸惑います。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 47\\ \hline  224 \end{array} }}\\ の47の7を隠すことで、

見たことのない変な筆算のかけ算  {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline  224 \end{array} }}\\ が現れます。

 

2けた×1けたの筆算のかけ算に見えません。

 

ですが、

計算の仕方は、同じです。

4×2 の次に 4×3 を計算します。

下から上に見て、九九を計算します。

 

さらに、

答えを書く位置が、少し違います。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline128\:\:\:\:\\\end{array} }}\\ と書きたいのですが、

既に、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline  224 \end{array} }}\\ このように書いてあります。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 4 \:\:\:\:\\ \hline \end{array} }}\\ の計算を、

この224に重ねて書けません。

 

下の行に書きます。

224の真ん中の2の下からです。

4の下からではありません。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 47 \\ \hline  224 \\ 128\:\:\:\:\\\end{array} }}\\ です。

かけ算の答えが2行になります。

 

戸惑って動き出せない子どもに、

計算とその答えを書くところを教えます。

 

「しにがはち(4×2=8)」、

「ここ、はち(8)」です。

224の真ん中の2の下を示します。

 

続いて、

「しさんじゅうに(4×3=12)」、

「ここ、じゅうに(12)」です。

 

このような教え方が、

子どもに好まれます。

 

計算(九九)と、

答え(「しにがはち(4×2=8)」)、

そして書くところ(「ここ、はち(8)」)だけです。

 

普通は、言葉で説明します。

 

「これも、2けた×1けただから、下から上に掛ける」、

「この“し”(4)と、この“に”(2)を掛けると、しにがはち(4×2=8)」のような説明です。

 

丁寧な教え方です。

ですが、

聞いているだけの子どもは退屈です。

 

最後にこの2行を足します。

 

224と、

左にずれた128をそのままの位置で足します。

 

足した答え  {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 47 \\ \hline  224 \\ 128\:\:\:\:\\\hline \:1504\end{array} }}\\ が、かけ算の答えです。

 

「これ(224)、足す、これ(128)」と教えます。

 

でも、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 224 \\ \: 128\:\:\:\: \\ \hline \end{array} }} \\ は、たし算に見えません。

 

たし算の記号(+)がなくて、

224の4の下に数字がありません。

 

動けない子どもに、

「これ、ここ」で、

224の4を答えとして書かせます。

 

続いて、

「に足すはち、じゅう(2+8=10)」、

「れい(0)」です。

 

さらに、

「に足すに、し(2+2=4)」、

「ご(5)」です。

 

計算と答えをリードして教えます。

こうすると、子どもは、

筆算のたし算を計算していることに気付きます。

 

(×÷022)