筆算のたし算の繰り上がりの計算で、ひどく混乱していた子が、「計算の仕方をつかみ取った」とき、強く喜ぶことができるような教え方をします。このような喜びは、学ぶ動機になります。

繰り上がりのアル  {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ と、

繰り上がりのナイ  {\normalsize { \begin{array}{rr} 26 \\ +\: 13 \\ \hline \end{array} }} \\ の計算で、

混乱しています。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ は、

8+5=13 の 3 だけを、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:3\end{array} }} \\ と書いて、

13 の 1 を、覚えて、

2+1=3 に足して、

3+1=4 と計算して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:43\end{array} }} \\ と書きます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 26 \\ +\: 13 \\ \hline \end{array} }} \\ は、

6+3=9 と計算して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 26 \\ +\: 13 \\ \hline \:\:\:\:9\end{array} }} \\ と書いて、

2+1=3 と計算して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 26 \\ +\: 13 \\ \hline\:\:39\end{array} }} \\ と書きます。

 

メインの計算は同じです。

繰り上がりのたし算がオプションで違います。

 

当事者のこの子は、

混乱していて、

区別できないのですから、

「何が何やらサッパリ分からない」状態です。

 

この子に教える前に、

どのような育ちを期待するのかを決めます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 26 \\ +\: 13 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算を、

正しく計算できるように、

この子を育てたいのでしたら、

「繰り上がり」のような言葉を使って、

計算の仕方を丁寧に説明して、

キチンと理解できるような教え方をします。

 

これとは違いますが、

正しく計算できるように育てるだけではなくて、

繰り上がりの有無で、

少しだけ違う計算の仕方を、

区別できるようになったときに、

「計算の仕方をつかみ取ったうれしさ」を、

感じさせたいのでしたら、

言葉での説明を避けて、

ただ計算の実況中継を見せるだけにします。

 

仮に、

「教えられたから、できるようになった」と、

この子が感じるようでしたら、

「計算の仕方をつかみ取ったうれしさ」を、

少ししか感じることができないでしょう。

 

そうではなくて、

次のような計算の実況中継を見ただけで、

計算できるようになったのでしたら、

子どもの感じ方が、

大きく違ってきます。

 

計算を見せられただけなのですから、

「教えられたから・・」と感じることはないはずです。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の 8 と 5 を示しながら、

「8+5=13」と計算して、

5 の真下を示して、

「ここ、3」とリードして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:3\end{array} }} \\ と書くのを待ってから、

「指、1」と教えます。

 

続いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:3\end{array} }} \\ の 2 と 1 を示しながら、

「2+1=3」と計算して、

子どもが指に取っている 1 を触って、

「1 足して、4」とリードして、

15 の 1 の真下を示して、

「ここ、4」です。

 

こちらのこのような実況中継を見ている子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:43\end{array} }} \\ と書きます。

 

この子から、

計算の仕方を聞かれたときや、

間違えた問題を直せないときに、

こちらの計算を見せる教え方をします。

 

繰り返し、この子に、

こちらの計算の実況中継を見せていると、

必ず、

「あっ、そういうことか」や、

「分かった」のようになります。

 

そして、

ここでの例のように、

こちらの計算だけを見せる実況中継ですから、

「教えられたから・・」と感じるよりも、

「自分が、計算の仕方をつかんだ」と感じます。

 

だから、

「計算の仕方をつかみ取ったうれしさ」が、

とても大きくなります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -397)、(+-  {\normalsize {α}} -247)