指を使わずに答えを出している子どもを、こちらの心に映し出します。

7+8、3+9、5+6、……のような

暗算のたし算を、

指で数えて計算しています。

 

7+8 の7を「しち」と読み、

「はち、く、じゅう、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご」と、

指で8回数えて、

答え15を出します。

 

3+9 で、

集中が切れて止まります。

 

計算を手伝って、

集中を戻します。

 

3を示して、

「さん」と読んでから、

「し、ご、ろく、しち、はち、く、じゅう、じゅういち、じゅうに」と、

指で9回数えて、

答え12を出します。

 

子どもと同じ計算の仕方です。

 

計算の仕方は、

子どもと同じですが、

指を使わずに答を出しているこの子を、

こちらは心の中に、

先にイメージしておきます。

 

先にイメージした

こちらの心の中のこの子は、

3+9 を見ただけで、

答え12を出しています。

 

このイメージを通して、

指で数える目の前の子を見て、

計算を手伝います。

 

答え12を既に出している子のイメージを通して、

集中が切れて止まっている目の前の子を、

指で9回数えて手伝います。

 

答え12を出してしまった心の中の子と、

指で9回数える体の動きが違いますから、

心が体から大きく離れていて、

どうしてもギクシャクとした動きになります。

 

指で9回数えて、

子どもの計算を手伝いますが、

心の中のイメージの子は、

既に答え12を出していますから、

心ここにあらずの上の空で

「し、ご、ろく、しち、はち、く、じゅう、じゅういち、じゅうに」と、

指で9回数えます。

 

計算を手伝われるこの子は、

こちらのギクシャクとした動きに、

不自然さを感じます。

 

この子は、

集中を戻せなくなると、

同じようなギクシャクとした動きで

指で数える計算を手伝われて

集中を戻しますから、

こちらの心の中を

盗み見るようになります。

 

するとこの子は、

こちらが心の中に映し出している

指を使わずに答えを出している

自分自身を見ます。

 

こちらの心に映っている子ども自身は、

5+6 を見ただけで、

答え11を出しています。

 

今の子どもは、

5+6 の5を「ご」と読んで、

「ろく、しち、はち、く、じゅう、じゅういち」と、

指で6回数えています。

 

今は指で数えて答えを出していますが、

こちらの心の中に映った

未来の自分自身をこの子は見ています。

 

指で数える計算を続けると、

やがてああなると、

この子は見て知っています。

 

すると、

ああなった自分がとても身近になって、

ああなるのが早くなります。

 

参照:

蔵一二三、「計算の教えない教え方 たし算ひき算」(2018)。

アマゾン。

計算の教えない教え方 たし算ひき算―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て