たし算の問題集を取り出すような準備から、計算の一連の動作そのものと、それぞれのスピードを見せます。子どもは、一連の動作と、それぞれのスピードを学びます。スピードを学ぶことで、子どもに、たし算の感覚が入りやすくなります。

〇+〇= の感覚を、

子どもが持つまでの期間を短くするコツは、

子どものあらゆる動作を速くすることだけです。

 

「あらゆる動作」を速くするようにすれば、

例えば、8+5= を見るだけで、

即、答え 13 が出る感覚が、

自然に入ります。

 

「つかむ」とか、

「持つ」とか・・とは少し違って、

「入る」がピッタリの表現です。

 

 

「たし算を、今から練習する」と決めた後、

次のような一連の動作を順に行います。

 

普通の言い方でしたら、

「計算する」ですが、

実際に子どもが行うことは、

次のような一連の動作です。

 

イスに座ること、

机に問題集を置くスペースを用意すること、

問題集を取り出すこと、

鉛筆や消しゴムを取り出すこと、

1問目の 8+5= の 8 を見ること、

次の数の 9 を出すこと、

+5 の 5 を見ること、

9、10、11、12、13 と、5回数えること、

= の右の答えを書くスペースを見ること、

8+5=13 と書くこと、

次の問題 7+6= の 7 を見ること、

次の数の 8 を出すこと、

+6 の 6 を見ること、

8、9、10、11、12、13 と、6回数えること、

= の右の答えを書くスペースを見ること、

7+6=13 と書くこと、

次の問題 5+9= の 5 を見ること、

・・・・・のような動作です。

 

このようなたし算を計算するときの

あらゆる動作を速くします。

 

すると、

8+5= を見ただけで、

即、答え 13 を出す感覚、

7+6= を見ただけで、

即、答え 13 を出す感覚、

5+9= を見ただけで、

即、答え 14 を出す感覚、

・・・・・が、

短期間で、自然に、入ります。

 

もちろん、1~2日ではありません。

1~2週間でもありません。

数カ月間です。

 

一度、たし算の答えを出す感覚が入ったら、

生涯利用することが可能な、

便利は感覚です。

 

 

さて、

あらゆる動作を速くすることを、

つぎのような実況中継を見せれば、

子どもに教えることができます。

 

「速く!」と、

言葉で指示しません。

 

話し手のこちらの「速く」と、

聞き手の子どもの「速く」は、

全く違うスピードだからです。

 

言葉で、

「速く」と指示しても、

曖昧にしか伝わりません。

 

こちらが、

子どもの代行で、

やって見せれば、

見た通りのスピードが伝わります。

 

こちらが見せるスピードと、

子どもが見ているスピードは、

わざとらしい言い方ですが、

まったく同じです。

 

 

机に問題集を置くスペースを用意すること、

問題集を取り出すこと、

鉛筆や消しゴムを取り出すことのような

計算し始めるまでの準備は、

こちらが、無言で、代行します。

 

言葉でアレコレと指示しないで、

こちらが代行してしまいますから、

無言です。

 

例えば、

「机に問題集を置くスペースを用意する」動作を

見ている子どもは、

机の上にスペースを広げていることと、

そのスピードを同時に見て学びます。

 

こちらが無言ですから、

子どもは、

こちらの動作そのものと、

そのスピードに集中できます。

 

 

このような代行で、

最初の問題を見るところまで準備できたら、

こちらの計算の実況中継を見せます。

 

答えを出すための一連の動作と、

それぞれの動作のスピードを見せます。

 

最初の問題が、

8+5= であれば、

以下の実例のような実況中継です。

 

8 を示して、

「はち」と声に出して読み、

5 を示した後、

「く、じゅう、じゅういち、じゅうに、じゅうさん」と、

声に出して数えて、

= の右を示して、

「じゅうさん(13)」です。

 

答えを出すことだけに限られた実況中継を

見て聞いていた子は、

8+5=13 と書きます。

 

こちらが代行して答えを出すことで、

子どもに、

答え 13 を出すまでの一連の動作そのものと、

それぞれのスピードを見せることができます。

 

もちろん、

相当に速いスピードです。

 

速いスピードにする理由は、

8+5= を見るだけで、

即、答え 13 を出す感覚が、

子どもに入りやすくするためです。

 

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